家族性コレステロール血症

家族性コレステロール血症』は、遺伝的要因で「LDLコレステロール値」が高くなる病気です。 若くして心筋梗塞などの「冠動脈疾患」を発症する恐れがあるため、適切な治療で発症を予防することが大切です。 家族性コレステロール血症には、「ヘテロ型」と「ホモ型」の2種類があります。 「ヘテロ型」は両親のどちらか一方から、変異のある遺伝子を受け継いだタイプで、 約500人に1人が発症する稀ではない病気です。 「ホモ型」は、父方と母方の両方から、変異のある遺伝子を受け継いだタイプですが、 約100万人に1人と、まれですが、若い頃から動脈硬化が進行します。 ヘテロ型とホモ型のどちらのタイプも、できるだけ早期に発見して、早い段階から適切な治療を受ける必要があります。
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家族性コレステロール血症

■「家族性コレステロール血症」とは?

LDL受容体に関わる遺伝子の変異によって起こる

家族性コレステロール血症は、遺伝的な要因によって、「LDLコレステロール値」が高くなる病気です。 この病気があると「動脈硬化」が進みやすいため、 若いうちから「冠動脈疾患」を発症しやすいという特徴があります。 冠動脈疾患の発症を防ぐために、適切な治療が必要です。

●冠動脈疾患を起こしやすい理由

血液中の「LDL」は、細胞の表面にある「LDL受容体」を介して細胞内に取り込まれます。 家族性コレステロール血症では、LDL受容体にかかわる遺伝子に変異があるため、LDL受容体が少なかったり、 その働きが悪く、血液中のLDLをうまく細胞内に取り込むことができません。 取り込まれなかったLDLは血管壁に入り込み、酸化されて、「マクロファージ」に取り込まれていきます。 その結果、動脈硬化が促進されて、冠動脈疾患を発症しやすくなります。 家族性コレステロール血症は、親から変異のある遺伝子を受け継ぐことで起こります。 親からその遺伝子をいくつ受け継ぐかで、次の2つのタイプに分けられます。

▼ヘテロ型
両親のどちらか一方から、変異のある遺伝子を受け継いだタイプです。健康な人に比べて、LDL受容体の数が少なくなるため、 一般に総コレステロール値は250mg/dl以上、LDLコレステロール値は170〜180mg/dl以上になります。 ただし、遺伝子の変異があってもLDLコレステロール値があまり高くならない人もいます。 ヘテロ型の家族性コレステロール血症の発症頻度は約500人に1人と言われています。 比較的頻度の高い病気ですが、あまり知られていないのが現状です。 そのため、家族性高コレステロール血症としての治療を受けていない人もいると考えられます。

▼ホモ型
父方と母方の両方から、変異のある遺伝子を受け継いだタイプです。LDL受容体がほとんどない、あるいはわずかしかないため、 総コレステロール値は500mg/dl以上にもなります。ホモ型の頻度は約100万人に1人と、まれですが、 若い頃から動脈硬化が進行します。そのため、10歳代や20歳代でで「心筋梗塞」を発症するケースも 珍しくありません。

ヘテロ型とホモ型のどちらのタイプも、できるだけ早期に発見して、早い段階から適切な治療を受ける必要があります。



■症状と診断

皮下にコレステロールが溜まる「黄色腫」が特徴

▼症状
家族性コレステロール血症では、コレステロールなどの塊が皮膚に下に溜まる「黄色腫」が現れます。 黄色腫は特に「アキレス腱」によくでき、アキレス腱が太く厚くなります。 通常、アキレス腱の太さは6cm程度ですが、黄色腫がある場合は9cm以上になります。 また、「目のふち」「肘や膝の外側」などにもできます。
このほかにも、「角膜輪」といって、黒目の周りに白い輪ができることもあります。 このような症状がある場合は家族性高コレステロール血症の可能性があるため、できるだけ早く医療機関を受診してください。

▼診断
「血液検査」で脂質の値を調べますが、LDLコレステロール値の高さだけでは、 家族性コレステロール血症かどうかの診断はつきません。 そのため、「問診」で家族に高コレステロール血症の人がいるかどうかを確認したり、 アキレス腱の「触診」「エックス線撮影」を行います。 LDLコレステロール値や家族歴、黄色腫などの症状が一定の基準を満たすと、家族性コレステロール血症と診断されます。


■治療

タイプに応じて薬物療法や「LDLアフェレーシス」を行う

●タイプによって治療法が異なる

どちらのタイプも冠動脈疾患の有無を調べる検査を定期的に受けることが大切です。 ヘテロ型とホモ型で治療法が異なりますが、どちらの場合も生活習慣の改善を基本として行います。 「食事療法」や「運動療法」によって体重を減らすことで、薬の効きがよくなることがあるうえ、 「高血圧」など他の生活習慣病の予防になります。

▼ヘテロ型
薬物療法が中心です。主に「スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)」「陰イオン交換樹脂」「プロブコール」「エゼミチブ」 などの薬を組み合わせて使用します。薬物療法で大事なのは、担当医の指示を守って薬を飲み続けることです。 服薬を継続すると、仮にLDLコレステロール値がそれほど下がらなかったとしても、冠動脈疾患の発症を抑制する 効果があるとされています。

▼ホモ型
「LDLアフェレーシス」を行います。これは「透析療法」と同じような機器を使い、 血液の流れを外で循環させ、LDLだけを吸着して取り除いた後、再び血液を体内に戻すという治療法です。 LDLアフェレーシスは、1〜2週間に1回は行う必要があり、1〜2週間に1回の場合には健康保険が適用されます。