脂質異常症予防

悪玉コレステロールと中性脂肪の密接な関連から動脈硬化や血栓が深刻化する。


■動脈硬化

脳梗塞・心筋梗塞の引き金になる動脈硬化

血液中の脂質である、コレステロールと中性脂肪が異常な値を示していること。 これが脂質異常症で、そのまま放置すれば、血管の弾力が失われてもろくなる動脈硬化が進んでいきます。 そうなれば、脳梗塞や心筋梗塞など、命を脅かす重大疾患の危機につながることは言うまでもありません。 コレステロールも中性脂肪も、そもそもは体にとって、必要不可欠な役割を担っています。 全身に約60兆個ある細胞の膜や、神経細胞はコレステロールから作られます。 ホルモン、胆汁酸、免疫にかかわるたんぱく質の材料もコレステロールです。 中性脂肪は体が活動するときの効率的なエネルギー源ですし、体温の調節にも大きな貢献をしています。 では、これらの値が高すぎる・低すぎると、血液や血管にどのような弊害が現れるのでしょうか。


●悪玉コレステロールが血管壁に入り込む

肝臓で合成されたり、食事から補給されたコレステロールは、血液の流れに乗って全身に運ばれます。 これがLDLコレステロールで、一般的な別名が悪玉コレステロールでです。 その後、使われなかったコレステロールは、血液の流れによって再び肝臓に戻ってきます。 これがHDLコレステロールで、別名が善玉コレステロール。肝臓に戻った後、新しいコレステロールを作るための材料に使われます。 まず問題は、悪玉コレステロールが増えて、血液中に余ってしまったときです。

@余った悪玉コレステロールが、動脈の壁に入り込む。
A活性酸素がによって、悪玉コレステロールが酸化する。
B免疫細胞のマクロファージが集まって、酸化した悪玉コレステロールを取り込んでいく。
C悪玉コレステロールを過剰に取り込んだマクロファージが、泡沫細胞に変化。その塊が動脈壁にどんどん沈着する。

こうした段階を経て、血管壁が瘤のように膨らんで、 動脈硬化が進んでいきます。 この瘤が破れて、内部のプラーク(コレステロールを含んだお粥状の塊)が飛び出すと、 脳や心臓の血管を詰まらせる血栓ともなります。善玉コレステロールの場合、その量が少なすぎると憂慮すべき事態といえるでしょう。 これが意味するのは、血液中の余分なコレステロールが十分に回収できていないということ。 そのため、動脈硬化の進行が大幅に加速してしまうのです。


●血液の流れに悪影響を及ぼす中性脂肪

増えすぎた中性脂肪の弊害として見逃せないのが、血液の流れが阻害されて、ドロドロに淀みがちになること。 コレステロール値のみが高い場合よりも、血流への悪影響は大きいと言えます。 血液の流れが悪くなる第一の理由は、中性脂肪がうまく肝臓で燃焼されず、その燃えカスとして発生するレムナントという 物質にあります。レムナントは、赤血球の膜を硬く変化させるという困った作用をもたらします。 体内にめぐらされている毛細血管の直径は、7μmしかありません。一方、赤血球の直径は、それより大きい8μmです。 そのため、赤血球が毛細血管の内部を通るときには、自らの形を平べったく変形させなくてはなりません。 しかし、レムナント化のために赤血球の膜が硬くなると、このしなやかな変形能が低下。 結果的に血液の流れがよどんで、詰まりやすくなるのです。 その様子は、MC-FAN(血流動性測定装置)という検査機器で調べれば、一目瞭然で判明します。 シリコンの壁で作った7μmの隙間を疑似毛細血管として、採取した血液を通過させて、その流れ方やスピードを診断するのです。 中性脂肪が増えている人の血液は、赤血球の膜が硬くなってザラザラになり、疑似毛細血管で詰まっていることが頻繁にみられます。 毛細血管で詰まった赤血球が破れると、血小板を互いに絡み合せて、血栓を作り出す物質を内部から放出。 その結果、血液がますます詰まりやすくなるという背景もあります。


●中性脂肪が増やす超悪玉コレステロール

さらに注意すべきなのは、中性脂肪はコレステロールと密接に関わって、動脈硬化の進行に拍車をかけていくこと。 増えすぎた中性脂肪は、悪玉コレステロールに働きかけて、そこから小型の超悪玉コレステロールを生み出します。 超悪玉コレステロールは、細胞膜やホルモンを分泌するなど本来の役割を果たすことなく、血液中に長く停滞します。 小型なので血管壁に潜り込みやすく、活性酸素によって変化もされやすいなど、まさに超悪玉と呼べる存在です。 さらなる問題は、中性脂肪は善玉コレステロールを減らすようにも作用すること。 すなわち、中性脂肪は血液を詰まりやすくするだけでなく、動脈硬化まで間接的に深刻化させるのです。 脂質異常症は動脈硬化の誘因となるだけでなく、膵炎、胆石、などの病気も引き起こします。 検診などでコレステロール、中性脂肪の異常を指摘されたら、医師の指示のもと治療に取り組むとともに、 食事や運動など生活習慣の見直しを心がけるようにもしたいものです。